第37回日本医学教育学会総会

ワークショップ1

医学教育への患者の参加

コーディネーター 北村 聖(東京大学医学教育国際協力研究センター)
50名(先着順)

医療が患者主体に大きく変化してきたことと同期して、患者も医学教育についてもっと知りたいとか、さらに進んで患者も医学教育に参加したいという希望を聞くようになってきた。実際、医療面接の自習や試験で模擬患者を演じている方の多くは患者としての経験があり、それが模擬患者になろうという動機になっているということもある。
ワークショップでは患者が医学教育に参加するということをテーマに話し合いたい。医学教育学会では、過去においてこのテーマでそれほど多く話し合われてこなかったように思う。特に患者を交えた話し合いはなかったと思う。このワークショップでは、医学教育者からの意見、患者からの意見、さらに学生からの意見が交換されることが期待される。ワークショップの最初に基調講演をお願いした。演者は中田智恵海さん(佛教大学 社会福祉学部 助教授、関西地区口唇口蓋裂児と共に歩む会 世話人)で、患者会組織の中で広く活躍されている。「患者が医学教育に参加する原点(仮)」について話していただく。その後、参加者でクループ討議を行ない、患者が医学教育に参加することの利点や課題を明らかにする。さらにより具体的に、対象の学生や、教育内容で、あるいは教育方略などについても議論したい。とくに、患者がつらかった患者経験や医師の対応を学生に話すことからはじめて、より教育効果の上がる内容・方略にまで議論が深まれば幸いと考えている。
医学教育者、患者さん、学生などできるだけ多くの方の参加をお願いしたい。

1. 基調講演 質疑を含めて45分
中田 智恵海さん(佛教大学 社会福祉学部 助教授、関西地区口唇口蓋裂児と共に歩む会 世話人)
2. グループ討議 60-90分
以下のようなテーマのいくつかを選んでグループで話し合う
  1. 患者が医学教育に参加する意義
  2. 患者が医学教育に参加して何を教えるのか?(目標)
  3. 教育方略;講義、講演、チュートリアル、実習、SP etc
  4. 教育評価は?
  5. 患者が医学教育に参加することを阻むものは?
  6. 成功事例
  7. これからの具体的行動は?
     など
3.グループによる発表と全体討論 60分程度

ワークショップ(2)

臨床教育評価の判定基準設定法:Angoff法,Borderline法,Borderline regression法,Hofstee法の実演

コーディネーター 東京大学医学教育国際協力研究センター 大西弘高
30名

評価は,どのくらい習得できているかに関する情報(knowledge of results)を提供し,学習者を動機づける働きを持つ.しかし,評価の妥当性が低い場合,その魅力は低下する.評価の判定基準設定法は,近年妥当性に関わる要素の一つとみなされるようになり,評価に関連して話題にのぼることが多いトピックスである.

評価は,criterion-referenced test(以下CRT,いわゆる絶対評価)とnorm-reference test(以下NRT,いわゆる相対評価)とに大別される.Hofstee法はこれら両方の利点を兼ね備える方法だが,他の3つの方法はいずれもCRTである.また,Angoff法はtest-centered methodの1つだが,Borderline法とBorderline regression法はいずれもexaminee-centered methodに含まれる.

これらの相違点や,長所短所については,仮想データを用い実際に手を動かしてみることによって初めて理解が深まる面が多い.特に,臨床教育に対する評価については筆記試験に対する判定基準設定法とは異なり,Borderline / Borderline regression法の有用性が高いことが理解されるだろう.本ワークショップでは,参加者の皆さんにそれぞれの方法について体験してもらい,理解を深めてもらうことを第一の目的としたい.

ワークショップ(3)

外来教育におけるフィードバックと評価

コーディネーター 日本生協連医療部会家庭医療学開発センター 藤沼 康樹
30名(先着順)

外来教育におけるフィードバック法及び評価法の紹介と、実技(ロールプレイ等)を行います。楽しく学べる機会を作りたいと思います。

目標
  1. フィードバックの原則を活かした学習者とのディスカッションが外来診療の場面で出来るようになる
  2. フィードバックと形成的評価の相同性を理解し、評価のツールを適切に使うことができるようになる
方法
  1. ミニレクチャー
  2. 小グループでのディスカッション
  3. ロールプレイング
シラバス
  • 外来教育の特徴
  • 成人教育と医学教育のトレンド
  • 学習者中心の教育
  • フィードバック
  • フィードフォワード
  • マイクロフィードバックとマクロフィードバック
  • 5つのマイクロスキル
  • 4つのW
  • 不確実なことを明らかにする(revealing uncertainty)
  • パフォーマンス評価
  • Mini-CEX
  • 振り返り(reflection)の基本
  • Significant Event Auditing/Analysis

ワークショップ

救命処置教育普及の現状と今後

コーディネーター 九州大学医療系統合教育研究センター 吉田 素文
30名(受付締め切り後、結果をご通知いたします)

国際ガイドラインをコンテンツとした心肺蘇生や外傷などの救命処置教育が急激に普及しています。その背景には、サミットやオリンピックなどの機会に国際的な遅れが指摘されたり、社会問題として取り上げられたりしたこともありますが、何よりも医療従事者や学生等のニーズがあったこと、職員の受講が病院評価項目のひとつになっており、医療機関のニーズにも合致することなどが大きな要因であると考えられます。
一方では、地域の救急医療体制単位での教育プログラムが開催されたり、救急や麻酔、循環器の学会のみならず、内科系の学会や医師会が受講を要件とする制度を打ち出したりしています。また、教育的側面からはチーム医療教育の重要な方略として注目されています。
しかし、急激な普及の一方では、かかわる人材の生活の質の低下や指導の質を向上維持する方策など解決すべき問題も多数指摘されています。このワークショップでは、かかる普及状況を振り返るとともに、救命処置教育の普及のゴール、および医療系教育の状況に照らして、問題点の抽出と解決策について検討したいと考えています。
より多くの皆様のご参加をお待ちしています。

ワークショップ

医学教育に今,社会が求めるもの(医学教育へのフィードバック)

コーディネーター 佐伯 晴子(東京SP研究会代表・厚生労働省社会保障審議会医療部会委員)
松原 洋子(立命館大学大学院先端総合学術研究科 教授)
報告者
(話題提供者)
岩本 ゆり(NPO法人 楽患ねっと 副理事長)
川口 有美子(NPO法人 ALS/MNDサポートセンターさくら会 主宰)
中島 孝 (独立行政法人国立病院機構新潟病院 副院長)
医学生 10名
研修医 10名(卒後4年まで位)
若手医師 10名(卒後5年から14年まで位)
医学部教員 10名(卒後15年以上)
病院医師 10名(卒後15年以上)
医療関係者 10名
傍聴のみ 50名
※お申し込みの際、どのカテゴリーにあてはまるかを明記下さい。
※傍聴は、当日参加も可能ですが、なるべくお申し込み下さい。

今,日本の医療には透明性と説明責任が求められている.個々の患者さんとのコミュニケーションを基本とした信頼関係を構築するのと同時に,「患者の視点」を尊重し,住民・国民と医療提供側の合意に基づいた医療の実現が今を生きる私たちに課されている.そのような課題に,今の医学部教育や研修医指導は応えているのだろうか? 現実に患者さんやご家族は医療を受けてさまざまな思いをもつ.現場でどんなことが起こっているのか,研修医に限らず現場の医師たちに対して,あるいは医療に対して,社会の人はどんなことを感じているのだろうか.また,病院の医師は医学部の教育をどう評価しているのだろう.
患者さんやご家族からの報告と現場の医師からの報告を聴く.医学教育が今すぐ対処すべき問題も呈示されるかも知れない,医学教育の枠を超えて広く議論を深めるべき課題も含まれているだろう.医学教育の限界を感じることになるかもしれない.報告をふまえて,参加者(医学教育者・医学生・研修医)のグループ別討論とグループ発表を行い,報告者をまじえて総合討論をおこなう.
現場が求める医療者育成の観点から医学教育のあり方を考えたい.是非多くの医学生にも参加してもらい,次世代の医学教育へ具体的な改善策を講じる第一歩にしたいと思う.

ワークショップ

漢方医学教育の現状と問題点
−カリキュラムプランニングに際しての障壁と解決策−

コーディネーター 佐藤 寿一(名古屋大学医学部附属病院総合診療部)
井内 康輝(広島大学大学院医歯薬学総合研究科病理学)
30名(先着順)

平成13年3月に公表された医学教育モデル・コア・カリキュラムでは、一般目標「診療に必要な薬物治療の基本(薬理作用、副作用)を学ぶ」の中の到達目標に「和漢薬を概説できる」という項目が加えられました。このことにより、全ての医学部・医科大学で行われる医学教育に漢方医学が取り入れられることになりました。ところが、カリキュラムの到達目標を達成するための方略や達成度を評価するシステムは確立されておらず、多くの大学では漢方医学教育は暗中模索の現状であろうと思われます。
このワークショップは医学部・医科大学において漢方医学教育のカリキュラムプランニングを担当する教育者にとって役立つものにしたいと考えています。
すでに漢方医学教育を学部教育に取り入れている大学からの参加者数名を予め発言者に指定させていただき、ワークショップ当日に、現在行われている漢方医学教育の現状についての問題提起をしていただきます。次に、参加者は小グループに分かれ、そこで挙げられた問題点のうち漢方医学教育を推進する上でとくに大きな障壁となっていることがらを抽出し、それらの障壁の解決策について検討する、というグループワークを行っていただきます。そして、各グループのプロダクトを発表していただき、その後に全体討論を行います。
このワークショップの参加者は、漢方医学教育のカリキュラムを作成する際に出会うであろう様々な障壁を乗り越える新しいアイデアを手に入れることができるでしょう。
最後にこのワークショップのまとめとして、「漢方医学教育のカリキュラムプランニングを行う際の障壁と解決策」を学会への提言という形で示します。

ワークショップ

行動科学・人間関係教育」のコア・カリキュラムを創る

コーディネーター 中村 千賀子 (東京医科歯科大学教養部 )
30名(受付締め切り後、結果をご通知いたします)

行動科学・人間関係教育について何ら予備知識はなくてチョット心配という方も、医療のさらなる人間化を教育で実践したいと考えていらっしゃる方々や、医学科はもちろんですが、それ以外の専門を学んでいらっしゃる方々、学生さんを心から歓迎します。

生活習慣病、高齢化、急速な都市化に起因するQOLの低下や、病気・障害を効果的に診断し、予防・治療・解決できる医療者には、行動科学的・社会学的・人類学的視点を欠くことはできない。
同時に、患者主体の医療の実現に必須とされる医療者のコミュニケーション能力の開発も、行動科学的な方法論を駆使しての教育体系がいまだ確立されないまま試行錯誤が繰り返されてきている。これまでも、予防医学、心身医学、衛生・公衆衛生学などからもこうした概念については強く発信されてきていたが、残念ながら医学教育の全体枠の中では具体的な教育プログラムが組まれるには到っていない。
また、こうした視点は、民族的・文化的差異の深く影響する側面であるにもかかわらず、欧米の先例をそのまま流用するにとどまる傾向もないわけではない。
そこで、今回、1学年から6学年の医学生にその教育課程の中で、わが国独自の行動科学的視点を醸成させるコア・カリキュラムの試作を目標として、WSを企画した。
WSの資料としては、2004年7月に開催された医学教育学会「行動科学・人間関係教育委員会」によって開催されたWSの報告書「わが国における行動科学・人間関係教育の在り方について」、また、本委員会の委員有志と上述のWS参加者による米国ドレクセル大学、ジョンズ・ホプキンズ大学、ロチェスター大学における行動科学教育プログラムの視察(2005年6月実施予定)によって得られる情報などを利用し、討論を深めたい。
さらに、2004年末に出版された『Improving Medical Education−Enhancing Behavioral and Social Science Content』(Institute of Medicine編纂)も参考にしながら、参加者で討論を重ね、試案を作成する。
学生も含めて、どなたでも「行動科学・人間関係教育」に関心のある方の参加をお待ちします。
既成の科目を、行動科学の香り豊かなものにするために、様々な行動科学・人間関係教育のプログラムを比較検討し、そのエッセンスを取り出し、それぞれお持ちの、あるいはお考えの授業に味付けをしてみる料理人になってみませんか?